整体は脊椎矯正術とも言われ、背骨のゆがみを矯正することで痛みを取り、健康を回復し維持するための民間療法として日本では知られています。

整体の教科書には、脊椎を個々椎骨に分け、特定の部分を矯正することによって改善が期待できる適応症が一覧表になっているのが見られます。脊椎のどの部分が、どの臓器や器官と関係しているか、またその部分に問題があると、どのような症状や病変を発症するかが述べてあります。脊椎の特定のレベルが、特定の内臓や器官のはたらきと関係があるという神経系のメカニズムを説明しています。整体の理論は、まさにカイロプラクティックが言っていることと同じです。そして、整体の方法も、筋骨格のゆがみを手技矯正を通じて取り除き、健康を回復させるということで、カイロプラクティックと同じです。人間のからだという同じ対象を同じ意図をもって手技矯正という同じ方法を採るカイロプラクティックも整体も基本的には同じものといってよいでしょう。

ところが、整体師にカイロプラクティックと整体の違いについて尋ねると、双方は違うものだという答えが返ってくることが往々にしてあります。一方、アメリカのカイロプラクターに日本の整体について尋ねても知らない人がほとんどで、「整体」という言葉さえ知らないのが普通です。

では、整体師の言う違いでは何でしょう。そのひとつは、整体(術)はカイロプラクティックを取り入れたり模倣したのではなく、整体の手技はカイロプラクティックが実用化される以前からあったという主張です。整体は彼ら固有の技術、整体のほうが脊椎矯正のオリジナルだということのようです。

また、カイロプラクティックが手技療法以外にも、温熱や超音波, 電気療法、アクティベーター、牽引など補助的な療法を使うのに対して、整体はもっぱら手技療法が主体です。カイロプラクティックの治療に行っても所によっては器械だけの治療で終わってしまうことがあるのに対して、整体を行う術者達は矯正にかけては自分達のほうがハードコアだというプライドがあるようです。

もう一つ、矯正のテクニックの要領の違いがあげられます。伝統的なカイロプラクターの有名なドクターが大男であったように、カイロプラクティックは体力が大事です。術者の体重と力とスピードを必要とするスタイルのアジャストが主体です。

それに対し、日本の整体術には、患者の四肢や体幹を操作して力を矯正箇所に集め、矯正を効果的に行う方法が見られます。また、患者の体重を利用することによって、小さな術者や女性でもより大きな人を扱うことができる方法があります。矯正手段も手によってばかりでなく、足や膝、胸や肘、指あるいは木槌を使うこともあります。それだけに矯正のテクニックは種類も多く、整体にはそれら一連の手法を持つグループが存在し、野口整体、五味整体、長生療術など数多くの流派があります。

矯正以外の補助的な療法を余り持たない整体師達はそれら自分達の矯正のテクニックを大切に守り、その習得には従弟制度の形式を採ることも多く、もともと器用な日本人のこと、優れた術者がたくさんいます。欠点と言えば、彼らには、欧米やオーストラリアのカイロプラクティックに比べると、基礎医学を勉強するチャンスが少ないということでしょう。







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